短 歌「青い空」 

清遠短歌会の吟行で見事なフジを見学する(2008年5月)
清遠短歌会の吟行で見事なフジを見学する(2008年5月)

 この短歌は2004年「清遠短歌会」(代表 山根勢五)に入会してから、毎月一首提出している作品です。つたない短歌ではありますがご笑読ください。

 私の短歌は、「しるばにあっぷる」の取材をとおして感動したことや趣味の渓流釣り・ウォーキング・巨木探索などで実体験したものを主に題材としています。

 短歌の41文字に思いを込めて詠みますので、その短歌を詠むと当時のことが鮮やかに蘇ります。皆さんも短歌を始めてみてはいかがでしょうか。

 

2017年4月〜2017年3月

続行す歩く仲間の心意気  第四十回の十和田湖ウォーク (7月)

けもの道カツラの根元に湧く水の甘露をふふみ疲れを癒やす(6月)

竹林を後背にしていにしえの色をそのまま「雪村の桜」(5月)

なんという静けさなのか十和田湖は春まだ遠く眠っていたり(4月)

 

2016年4月〜2017年3月

三月の十一日にゴスペルの歌とどけよと雪ふる海に (3月)

氷割り寒しじみ採る十三湖に雪もちらつき吐く息白し(2月)

十和田湖のみそぎの郷の白龍の社に雪は積もりて止まぬ (1月)

残照の樹齢千年公孫樹の黄葉散りて初雪積もる (12月)

にしき絵か飛沫は虹に変わりたり空より落つる双竜の滝(11月)

津軽路の千本鳥居くぐりぬけ狐の化身か妖女の石像(10月)

「森の神」霧の中よりあらわれぬヴィオラの調べながれる森に(9月)

その人の命の止まる瞬間に立ち会うことの運命なるや(8月)

雷と風雪に耐え幾百年名久井岳山頂の孤高の杉よ(7月)

谷底の原始の森に待っていた千本カツラ空に聳えり(6月)

水きよしカタクリ二輪風にゆれ何を語るや光をあびて(5月)

みぞれ降る庭に咲きたるひとむらの悲しからずやキクザキイチゲ(4月)

 

2015年4月〜2016年3月

まっくらなブラックホールに落ちていく もがき苦しむ真夜中の夢 (3月)

若きころ幸せうすく無茶したと手首の傷見せさみしく笑う (2月)

ザクザクと登る山道息白し 風ふかば吹け雪ふらば降れ (1月)

返すべき言葉もなくて包丁の刃先でえぐるりんごの芯を (12月)

一本の巨木が森に見えてくる黄金のジュウタン子安の銀杏 (11月)

水清く道遠かれど空蒼く歩いて逝ったよひとあしはやく(10月)

対泉院せいそに立ちて大賀蓮二千年超えて命をつなぐ (9月)

十和田湖が眼下に見ゆる遥拝所ひかる湖面を吹き上がる風 (8月)

霧ふかしオニユリの咲く頃はもうボクらの夏ははじまっている (7月)

母の日に妻が贈りし白バラは今年も咲けり穏やかな日々 (6月)

縄文の大王杉は見下ろせり槌音ひびく三陸の海 (5月)

しんしんと皆既月食赤き色不思議な光の力を浴びる (4月)

2014年4月〜2015年3月

 手をつなぎ鎮魂の祈り三百人 3,11ヒューマンバンド(3月)

迷うなよこころひとつで変わるんだ生きてることが楽しくなるよ(2月)

ひとすじの流れが凍り氷爆に名も知らぬ滝蒼き牙を剥く(1月)

訪ねきし四百年の大ケヤキ 地元のばあちゃん見もせず通る(12月)

 夜もふけて吾を見つめる目の優し声艶やかに餌せがむレオ(11月)

両陛下笑みたおやかに葦毛崎潮風に耐え浜菊は咲く(10月)

異次元で心の悩み語りくるフェイスブックのまだ見ぬ友が(9月)

あさつゆに光りて咲けるあさがおの一輪白し 8月6日(8月)

十和田湖の真中におわす御門石  夢叶えたりその上に立つ(7月)

やま蒼く清き流れの源にシラネアオイは残雪に咲く(6月)
母老いて畑しごとの鉾先は腰痛持ちの吾に向きくる(5月)

ひまわりの花を帽子にかざりたる自由の国のアメリカの少女(4月)

2013年4月〜2013年3月

あれはてた心にしみいるヴァイオリン ダニエル・ゲーデの「愛の悲しみ」(3月)

とつぜんに天からの使者まい降りし青いカラスは吉兆告げるか(2月)

伐採の巨木の株に芽ばえたり森にみなぎる命の神秘(1月)

無念なり八百年を生きぬいて伐採されし「駒立の杉」(12月)

希少なるちいさく赤き実のなる樹うけ継ぎ育てしタータン林檎(11月)

ふりむけばそこに居るよな気がするよそぼふる雨に咲く曼珠沙華(10月)

早朝の経管栄養セットする吾をみている父の目やさし(9月)

せんぷうきまわるその下にネコのレオ吾をおしのけ午睡むさぼる(8月)

われにほしほたるぶくろのはなことばせいぎちゅうじつまたあいらしさ(7月)

ふいにいま呼ばれたようで振りむけば赤い牡丹がゆらりと揺れる(6月)

晴れわたる青空に咲くキタコブシ千の花みせ君をことほぐ(5月)

天神の銀杏の巨木のひと枝で作仏せしか この地蔵菩薩(4月)

2012年4月〜2013年3月

口惜しいよ手作りドアをだいなしに猫が背伸びでまた爪を研ぐ(3月)

捨て猫よ幸せなるか吾が家で ひとの暮らしなぞ関わりもなく(2月)

花嫁の衣装まといて並びたつ雪ふる賽の河原地蔵尊(1月)

迫りくる初三郎の鳥瞰図 種差十和田湖富士山も見ゆ(12月)

津軽路の高山稲荷うみを背に千の鳥居を白狐が走る(11月) 

霧ふかし滝壺に棲むまぼろしの巨大魚さがし獣となりぬ(10月)

十和田湖の一万年の時を経て今よみがえり雨の化石は(9月)

家族には巨木めぐりの道楽はひとりよがりの迷惑とぞ知る(8月)

ひさびさの渓流釣りの穴場にも護岸工事の音ひびきくる(7月)

幾千の白き花咲き森のごとし龍の枝もつ茨島の栃(6月)

終点は出発点にもなる不思議 地球も月も球体の謎(5月)

そのむかし大勢の鎌で殺されて呪いをかけし柳がゆれてる(4月)

2011年4月〜2012年3月

自転車で寒風の中かけつけるボランティアする次世代の子ら(3月)

モノカネの時代を超えるヒントかも人に尽くして見返り求めず(2月)

春植えしジャガイモの名は「北あかり」土押しあげて発芽せり今日(1月)

波にのまれ帰らぬ人を浜ぎくは待っているのか磯近く咲く(12月)

まよいなしアメリカゴールに突き刺さるあっぱれ「なでしこ」二十歳のシュート(11月)

いまは亡き教諭が植えし学び舎の希少種の松「ハクショウ」の謎(10月)

あるがままの姿で立っている大杉よ霧をまといて千年のときを(9月)

しもつきのふりくる雪は儚くてもみじのくれない濡らして消える(8月)

歳暮にと煙で燻せし山の幸 岩魚・山女に青笹敷いて(7月)

20万キロともに走りたるラブフォーは錆色の血をながして死んだ(6月)

おもいでも喜びもまた悲しみもすべてを捨てた真白き骨よ(5月)

鎮魂と復興祈り種差で3.11日の出に向かう(4月)

2010年4月〜2011年3月

「天狗の松」さがして四たびついに今日たどり着きたる青空の下(3月)

iphoneの操作ガイドの説明書ヨコモジ書くな日本語で書け(2月)
雪ふかく到達できぬ「天狗の松」つぎ来る日まで楽しみとせん(1月)

ほの暗い沼のほとりに棲んでいる八頭木か「蛇王の松」は(12月)
から松のおち葉ふみしめくる人のはく息しろく降るならば雪(11月)

うっかりと口をすべらせ後悔すオオイチョウダケ茸のありか(10月)
走り来てわが家の猫にあいさつす町畑小学校の元気な子等よ(9月)

生きたいか延命処置をほどこされし皮一枚の「一本タモ」の樹(8月)
白紙の宇宙の中に生まれでる三十一文字歌の無限よ(7月)

まぼろしといわれし姫鱒 瑠璃色の水面をはねて釣り人の針(6月)
雉子も鳴く庭に巨木をもつ主の笑顔の解説お茶のみながら(5月)

ジャパンデー青い目の子のお習字の筆もつ先の不思議の世界(4月)

 

2009年4月〜2010年3月

つらくとも生きてゆけるよ胸はって障害あれども笑顔があれば(4月)

垂乳根の伸びる間もなく消えていく命みじかし人間どもよ(5月)

あるがまま心ととのえ只管打座いつのことやらしんぷるらいふ(6月)

つり針で命うばわれし渓谷のイワナ悼むか鳴くホトトギス(7月)

木漏れ日をしずかにしずかに吸いこみて化身したるやひぐらしは今(8月)

頬つたう汗ぬぐいつつ速足に「風のトンネル」抜けると海だ(9月)

ゴビタンの空見上げれば宇宙の色 地平につづく一本の路(10月)

車中にて巨木めぐりの旅人にもらいし写真はミイラの河童(11月)

鳴きもせず身体すりゆく挨拶の名前は「レオちゃん」デブの黒猫(12月)

里へ出て冬芽を食べる子ザルさえ追わなきゃならぬ「サル追い」人は(1月)

「宇宙太子」のメッセージ聞く  UFOに乗船体験せしという君(2月)

ひっそりと小高き林に墓のあり廣澤安任の遺言ときく(3月)

2008年4月〜2009年3月

 痩せ岩魚長き冬耐え食らいつく命をつなぐぶどうの虫に(4月)

ひっそりと蔓亀葉草の咲くところ咽喉うるおす湧き水ありて(5月)

海の辺のハーブの庭にワープした銀河鉄道はくちょう駅は(6月)

一滴の雨がねぶたを壊してくそんな儚いねぶたが好きだ(7月)

ミャンマーの白骨街道生還し昆布漁する君九十二歳 (8月)

木の上で星を見ながら露天風呂大人になって叶えた夢よ(9月)

赤い実のなる一枝を空缶に月の光に飲むイワナ酒(10月)

青空はさりげなくすぐそこにあるたとえば部屋の障子の穴に(11月)

四百年の時空を超えて今を見るニドムカムイのブナの巨木は(12月)

突然の断水正月三日間 おめでたテレビが笑っているよ (1月)

陣痛を思いしらされいるような朝までつづく腰痛よ ああ (2月)

そらみみか小鳥のさえずり滝の音 竿の手入れす解禁前夜 (3月)

2007年4月〜2008年3月

 耐えてくれ春になれども今しばし雪の回廊に突きでし枝よ(4月)

にじみ出る赤き玉の血我の手に一矢むくいし たらの芽のトゲ(5月)

鉄の輪につながれ出す乳わが子呑む乳にはあらず牛の目かなし(6月)

さんのへの大神宮の絵馬殿に止まったままの時代がならぶ(7月)

熱き夜の踊る「ラッセラー・ラッセラー」狂喜乱舞青森ねぶた(8月)

つぎつぎと言葉巧みに切れ間なく帰る隙なしコーヒーぬるく(9月)

訪ね来し山根六郷水車小屋石臼をつく太き木の音(10月)

山ぶどう採りたる後の葉の赤し冬を迎えるつくしの森は(11月)

突然にすべてのものが滅びゆくそんな気がする満ちたりすぎて(12月)

クリアして二〇〇八年インプット オープニングは蕪島神社(1月)

ダイエット・スポーツしても変わらぬか ますます加速ああメタボリック(2月)

夢いだきウルスラ学院たつ子等よ清らに育てアンジュラの種(3月)

2006年4月〜2007年3月

 席を立ち話しにならぬと出ていきぬ頑固一徹まだまだ若い(4月)

花びらの水面はかつて空なりき今は湖底に沈みし村の(5月)

二百五十年の時の流れをまざと見せ苔に埋もれぬ五百羅漢は(6月)

人生を五十六年歩みきて悔いある日々を生きた証に(7月)

背が高く同じ顔して同じ向き気持ち悪いよひまわりの花 (8月)

山深き蒼き泉に身を潜め光あやつる白き岩魚か(9月)

蔦沼の水面彩る赤と黄に原始の森は秋をはなやぐ(10月)

ゴーゴーと枝も葉も飛ぶ白神の森を揺るがす風神の声(11月)

仙人と呼ばれし仲間の訃報きく酔いもまわった忘年会で (12月)

合掌し土の中よりよみがえりし是川土偶祈れるはなに(1月)

助手席に命あずけて突っ走る吹雪の高速道ああおそろしや(2月)

初春の残雪踏みし釣りはじめヤマメ数匹 フキノトウ摘む(3月)

2005年4月〜2006年3月

いさぎよく散るやさくらぎ武士の古しいしぶみ斗南ケ丘に (4月)

帰れない帰りたくても迷い犬 主なき綱をひきずりてゆく (5月)

むれて咲くひとりしずかや奥の院 山の霊気は光となりて (6月)

ただ一羽北に帰れぬ白鳥は川の中州に片足にたてり (7月)

終わりなき眠れぬ宵の灰皿の煙り目にしみ心が痛い (8月)

小舟渡の海辺の砂にゆれて咲く待宵草の悲しき色よ (9月)

すすき野にさしくる夕日輝きてトンボの群れの羽ふるわせる (10月)

半分の月みておまえはなに語る季節はずれのやま田の案山子 (11月)

初雪のふりし朝に逝きしボン 息子と同じ年月生きて (12月)

先生はしめ縄づくりの天才だ「山の楽校」体験講座  (1月)

炭の出来煙の色でわかると言う松雄じいさん薪割りながら (2月)

枯れてなおガクアジサイは凛と立つ雪かたき原カンジキで行く(3月)

 

2004年4月〜2005年3月

みそさざい雪に飛びつつチィと鳴く春もまじかのせせらぎの道 (4月)
舞い上がる縄文野焼き火焔の中で土偶がじっとわたしを見てる (5月)

苔むして走る清流ぐぐぐっとしなる竿先イワナの引きだ (6月)

白神のみどりの森の奥ふかく羽音するどしフクロウの二羽 (7月)

好きだった冷えたトマトと缶ビールへたなジョークで笑わす君が (8月)

炊きたてのごはんでにぎりしおむすびに少しの塩とすこしの愛が (9月)

トンボ舞い仲間の集うキャンプ場イワナ塩焼き栗きのこ汁 (10月)

生成に命ふきこむ朝晴れて心静かに鬼の目入れる (11月)

やめでけろ毛生え薬の講釈は無駄でないのかこのタゴおやじ (12月)

あらたまのあらあらあげるお年玉めでたくもあり逃げたくもなる (1月)

ゴトコトと雪のわだちを走りゆけばカラス散りたりモノクロの世界  (2月)

機織りのカラカラトントン心地よく佐藤タキさん九十五歳 (3月)

渓流釣りの歌 山本谿泉

 カタクリ 撮影2010年4月27日
 カタクリ 撮影2010年4月27日

  そらみみか小鳥のさえずり滝の音 竿の手入れす解禁前夜

  初春の残雪踏みし釣りはじめヤマメ数匹 フキノトウ摘む

  ひさびさの渓流釣りの穴場にも護岸工事の音ひびきくる

  まぼろしといわれし姫鱒るり色の水面をはねて釣り人の針

  苔むして走る清流ぐぐぐっとしなる竿先イワナの引きだ

  山深き蒼き泉に身を潜め光あやつる白き岩魚か

  つり針で命うばわれし渓谷のイワナ悼むか鳴くホトトギス

  トンボ舞い仲間の集うキャンプ場イワナ塩焼き栗きのこ汁

  赤い実のなる一枝を空缶に月の光に飲むイワナ酒

  伝えきく滝壺に棲むまぼろしの巨大魚もとめ獣となりぬ

  安家川源流に釣りしこのイワナさくらチップの香りをそえて

  痩せ岩魚長き冬耐え食らいつく命をつなぐぶどうの虫に

  歳暮にと煙で燻せし山の幸 岩魚・山女に青笹敷いて

 

  酔仙歌 山本谿泉